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Bad Medicine

「忠誠は時に盲目となり、盲目はしばしば死とならん。」
                             (Holfgar Frostbeard)

Bad Medicine_f0176229_043010.jpg「ああ、ようやく来たわね。」我輩が軍靴を響かせてOcheevaに接近を告げると、彼女は本から顔を上げ、我輩に微笑みかけてきた。
「仕掛けか?」
「そうよ。目標は勇猛な武将に率いられた傭兵団よ。」
「ほほう?皆殺しか?久々に血でも見たいと思っていたところだ。」
「・・・・・・・・・。」Ocheevaは我輩をまじまじと見てから「あんた、それじゃぁGogronじゃない。殺すのは一人だけ。傭兵隊長よ。」
「そいつは強い相手なんだろうな?」
「じつはね、気付かれずに契約を済まして欲しいのよ。依頼人の特別のお達しってわけ。」
「つまらん。別の奴に頼め。」我輩が立ち去ろうとすると、Ocheevaが引き止めた。
「お待ちなさいな。ね?ボーナスをはずむわ。貴方以外適任者が居ないの。」
ボーナス。我輩はこの言葉に弱い。Ocheevaに特別にボーナスを弾ませることを承諾させてやった。
何でも来い。カッカッカ。背後から、奴に浣腸をお見舞いするのでも構わんぞ?
「話を聞こう。」
「よく聞いて頂戴。ここからはるか西の彼方の山中に、Fort Sutchという砦があるわ。そこに、傭兵隊長Roderickと彼の傭兵団が拠点を構えているの。最近、Roderickは病気に倒れてね、今は寝たきりで、余命いくばくも無いんだけれど、強力な薬を与えられて生きながらえている。あんたの役目は、誰にも気付かれずにRoderickの薬と、私が渡す毒薬とをすり替えてくることよ。」
「死にかけの男をこの世の苦しみから解放するのか?わざわざ、手間隙かけずとも、勝手に死ぬだろうに。」
「この契約の要は、Roderickが病死したと見せかけることにあるのよ。だから、慎重にしなきゃ駄目。もし、見つかったら毒殺は失敗になる。他の方法でRoderickを殺さなきゃならなくなるわ。そうすれば、当然ボーナスもなくなるわよ?」

正面から乗り込んでいって、傭兵団と一戦交えるのかと期待した我輩が馬鹿だった。Dark Brotherfoodの契約は、いやらしいものか、弱いものを殺すものしかないのか?
Vicente Valtieriから貰った鎧をきこんで準備をしながら、我輩はDark Brotherfoodを抜ける算段を立てようかどうか考えた。抜けるならば、トップに上れば簡単な話だろうが。
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我輩の契約を聞きつけて、聖域の「兄弟姉妹」達がいつもながら好き勝手なアドバイスを送ってよこした。

「え!?毒殺!?あらぁああ。」Antonietta Marieは聖域のおさんどん担当らしく、食材を吟味しながら上機嫌だった。「毒殺は最高の殺し方よ?私ね、叔母さんのシチューに毒を混ぜたことがあるの。叔母さんたら、頭からシチューの皿に突っ込んで死んじゃったわ!!アハハハハハハハ!!!!」
「Valtieriの飯にニンニクを混ぜたのも、そういう趣向か?」
「えー。違うわよ。あれは、味付けよぉ。」

「な、何だってぇ!?」Gogron gro-Bolmogは木偶人形に自慢のeleven製の戦斧を叩きつけた。「誰もおめぇさんを見つけちゃなんねぇたぁ、どーいうことだよ?何が楽しいってんだ?クソボーナスめ。いいから、正面から堂々と乗り込んで、奴をぶっ飛ばしてきなって。」

彼の恋人のTelaendrilは全く正反対の意見だった。「いいわね!!そういう契約こそ、私にうってつけよ!!あなたは、影そのものになるの。そして、影が立ち去った後には、Roderickの死、あるのみよ。」

Vicente Valtieriは、我輩の契約内容を聞くと頷いた。「あなたに、アドバイスが要るとは思えませんが。一つだけ。あの手の傭兵は、自らを率いるリーダーには狂信的といえるほどの忠誠を誓っています。出会えば、絶対に血を流さねばなりません。用心を。」

役に立ったのは、Teinaavaの言葉である。
「Forst Sutchか。あの砦には足を運んだことがある。山奥にひっそりと建っている砦だぜ。天然の要害だが、弱点があってな。砦を構成する廃墟からさほど離れてない場所に塔の残骸がある。あの塔はかつて、Fort Sutchの教会堂の一部だった。二つの廃墟は見た目は別々だが、地下の方でつながっている。そのトンネルは、今じゃ浸水してるし、潜り込んだら間違いなくずぶ濡れになる。挙句に暗い。ま、我々には問題ないが・…だが間違いなく無防備だよ。」

Forst SutchはAnvilという都市から北西に位置する砦である。長旅になるな。更に言うと、我輩は帝国の西側の地方に足を向けたことが無い。見聞にもちょうど良かろう。

Anvilまでは3日の行程だった。
1日目はWater Frontで宿泊し、2日目はSkingradの北西にある盗賊どもの巣窟、Cursed Mineで宿泊した。当然、盗賊どもは我輩に血を抜かれてそこらじゅうで転がっている。
ここまでは、何事も無かったが、Anvilの近くで乱闘があった。
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Dark Brotherfoodの殺し屋と思しき女が逃げ回っているし、追いはぎと運び屋が殴り合っている傍らで、魔術の打ち合いをしている連中がいた。
全員が相打ちなり何なりで死に絶えたあと、装備をすべていただいた。

その後、我輩は街道をそれ、北東へ向かう。
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Fort Sutchはとりでの面影を残している、廃墟だった。ここを拠点にする傭兵団はよほど、頭が悪いか、落ち目かのどちらかしか考えられん。さて、蛇となりて、影となりて、いざ参ろうか。
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Teinaavaの言った地下のトンネルの入り口は、砦から意外に離れた場所にあり、しかも基礎部分以外は崩れ落ちていたために、探すのに少し手間取った。
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中に入ると、彼の言った通り、水が浸水していた。Teinaavaは情報通だな。ここはvampireの力の使いどころである。我輩は scent of bloodを使う。これで、動く者の発する熱や血のたぎりが手に取るように分かるはずだ。
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「俺には全く分からんぜ。あの薬がRoderickの命をつなぎとめているのか?それともただ、死ぬのを引き延ばしてるだけってか?どうやったらあの高熱で長く保ちこたえるってんだ?」
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「Roderickの熱は、あの薬で抑えてるわよ。Ulmug!あんたの舌とは違ってね!」
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「よくもそんなことを言うわね!私たち散々世話になったでしょう?、あんたもよ?少しは神様にでも祈ったら?」
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「祈る?Roderickを助けてくれるようDivinesの温情に縋れってか?俺たちが!?そんなバカバカしいこと奴だって笑い出して起きてくるだろうよ!」
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「じゃぁどうしろって言うのよ?他に何が出来る?あの薬がRoderickを生かしてる。今のところはそれが望みうるベストなのよ!」
「分かってる、Neesha。侮辱するつもりじゃなかった。ただよ…こんな風にうろうろ待つのがたまんねぇんだよ。奴が苦しんでるのを見てるのがよぉ!」
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「みんなそうよ、戦友。心配しないで。私は薬でRoderickがきっと治ると信じてるわ。それなりに時間は掛かるでしょうけど」
「じゃ、お祈りに頼るのは少し引っ込んで貰うか。俺たちは腕のほうを頼ることにしようぜ。俺は薬のキャビネットを守る。念のためだ」
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「なら私はRoderickの看病を続ける。隊長が私たちのところに戻ってくるのは時間の問題よ。私の心がそれを感じてるわ。」
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Neeshaというredguradの女傭兵と、Ulmug gro-Clomgogというorcの傭兵が愚痴と励ましをこぼしあい、不安との格闘を行っている間に、他の巡回の女の傭兵が開いた鉄格子を通過した我輩は、仕事を終えていた。

ひとつ気になったのは、Roderickを守る傭兵の数だ。我輩が確認した限りでは、5人しかいない。Roderickは落ち目な傭兵隊長なのかもしれない。依頼人は、病死に見せかけることで彼の名誉を守りたかったのか?それとも、この5人の誰かが見かねて、病死に見せかけるよう依頼してきたのか?いずれにせよ、真相は分からない。
分かっていることは、一人の男がやがて死に到ることと、彼を守ろうとする者が己の守る者を失ったことを近い将来、知ることになるということだけである。
by Razor-Tooth-Snake | 2009-10-27 00:53 | 第25話
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